「『愛宕』奮戦記」

最近あまり光人社のNF文庫を読んでいなかったのですが、重巡洋艦「愛宕」の戦記はあまり読んだことがなかったので、ちょっと手に取ってみました。


「愛宕奮戦記 旗艦乗組員の見たソロモン海戦」
小板橋孝策著 光人社NF文庫 2008年2月18日初版発行


著者は「下士官たちの戦艦大和」という著書もある元海軍下士官で、本書の主役である「愛宕」や「大和」にも乗り込んでいた操舵員だった方です。

本書はその著者の戦友である高橋兵曹の日記を元に、著者が再構成した戦記となっています。


愛宕は開戦時から第二艦隊の旗艦として、南方方面の各作戦に参加していました。ただ、旗艦ということもあり、なかなか実戦に参加することはありませんでしたが、本書のクライマックスでもある第三次ソロモン海戦で奮戦しています。
本書は海戦からその第三次ソロモン海戦までの愛宕の作戦を、高橋兵曹の視点から描いています。


構成上の特徴としては、高橋兵曹の視点を中心として、史実の戦果より日記の記載事項を重視している形です
実際の作戦資料としての価値よりも海戦描写を重視した戦記ですね。私は実際の作戦の戦果や被害はそれらをまとめた研究書を読めば良いし、むしろ海戦の臨場感を出した現場視点を重視した書き方の本のほうが面白く読めるので、本書の記載方法は好ましいです。

第三次ソロモン海戦を知らずに本書でいきなりだと色々と誤解するかも知れないですが、それはこれから知識を増やしていけば良いわけで。


後、本書の序文でも書かれていますが、ストーリーの上で何度も給油作業や給油艦の話が出てきます。
1942年のソロモン海での激闘時、日本海軍は空母や艦載機の数もさることながら、給油艦の不足で大きく作戦の自由を阻害されています。
ガダルカナル島の総攻撃が延期された際、それに呼応する形で作戦活動をしていた第二、第三艦隊は給油で随分苦労しているのですが、本書はその点を生々しく描いています。

他にも、トラック停泊時の艦内活動等、面白い記載が多いので興味深く読める戦記かと思います。
最近の戦記モノではお薦めの一冊かと。

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